狐

 

 

 

幼馴染で現在大学生の男の子が隣の家に住んでいる。

 

彼の家は父親が単身赴任、母親は朝から外出しているので午前中、大学へ行くまでの間は彼一人だ。

 

彼はバンドをやっていて、数年前から休日などは自分の部屋でエレキギターをギャンギャン唸らせている。

 

 

 

AM8:30、事件は起きました

 

 

 

「ギュイーーン!!ギャぎゃウィーーーン!!!ギャギャぎゃギャーーギャギャン!!!!ギャギャぎゃーンギャギぎゃぎゃャギャギャ!!!!ぎゃギャぎゃウィウィウィィィィィーーーー!!!」

 

 

 

隣の家から聞こえる突然のギター音に目が覚めた己。

 

最近は早起きする割には就寝時間が短く、昨日は深夜3時にようやく就寝。

 

せっかく良い気持ちで楽しい夢を見ていたのに・・・

 

 

 

実を言うと、こういった被害は今回だけじゃありません。

 

一応奴も時間帯を気にしてか、朝と夜21時以降は演奏活動をしないのですが、たまに己の就寝時間とのタイミングが合わない時などあった場合、こういった被害を受けることがあります。

 

いつもは我慢していたんだけど・・・・

 

良き眠りを妨げられた己は今回ばかりは大魔神のごとく怒り、携帯で注意しようとしました。

 

 

・・・「おかけになった電話番号は現在使われておりません番号を・・・・・」

 

 

しばらく連絡をとっていなかった為なのか、いつの間にか奴は携帯を変えていた模様。

 

 

そうだ、家の電話なら変えていないハズ!!!

 

 

そう思い、まだ見開いていない目を擦りながらまた電話します。

 

 

「プルルルル・プルルルル・プルルルル・プルルルル・プルルルル」

 

 

ガチャ

 

 

「ただいま留守にしております。発信音の後にメッセージをお願いします。・・・ピーー」

 

 

 

大音量で演奏しているせいか、何度電話しても一向に出やがりません。

 

それどころか、なんとも耳障りな爆音はさっきよりも音量が大きくなった感じさえします。

 

頭に血が昇りまくった己がとった最終手段。

 

 

 

奴の部屋まで行ってやる!!

 

 

 

 

一応インターホンで呼んでみたものの、やっぱり気づきません。

 

 鍵は・・・・・・かけていない。

 

・・・・進入成功です。 

 

向かう先は二階にある奴の部屋、そこ以外にはもちろん行きません。

 

爆音が鳴り響く二階の部屋、奴の部屋は簡単に探せます。

 

こんなに大きな音の中にいて耳はおかしくならないのか??いや、もうおかしくなってるんだな、コイツ。

 

 

奴の部屋の前、己は扉を思いっきり叩きました。

 

・・・そりゃーもー扉に穴が開くほど叩きましたよwww

 

ようやく奴がそれに気づき、部屋を開けます。

 

すかさず己は部屋に入り、奴の首を両手で絞め、こう言いました。

 

 

 

「お前は己を殺す気かっ!」

 

 

 

これは誰が誰に言っている言葉なんでしょう?w・・・今思うと笑えますwww

 

 

 あまり怒りを面に出さずにふざけ半分に言ったせいでしょうか、奴も自分の非を認め、今後は注意して演奏することを約束してくれました。

 

こんなことならもう少し早く注意しておくんだった♪

 

 

その後、己はまた夢の中に入り、なんの邪魔も受けないまま眠り続け・・・起きたのは午後8時でした。

 

 

 

めでたしめでたし(*^_^*)